昭和九年刊の流行語辞典「新語新知識」

http://d.hatena.ne.jp/y05k/20071006
昨日の本棚自慢でも紹介した「崩れやすいのでビニール袋に封印してある昭和九年刊の流行語辞典」を、袋から出してちょっぴり紹介。ページをめくるたびに端がパラパラ崩れてくるけど。

表紙はこんな感じ。この時期特有のアンニュイでデカダンな日本語フォントがたまらない。
大日本雄辯会講談社とは後の講談社である。*1

大正14年創刊の、講談社の看板大衆誌「キング」の新春増刊だと思う。序文は総理になる前の鳩山一郎氏。
威勢のいいことを言ってるようで、意外とテキトウなコメントだなぁ。

テレヴイジヨンは国内ではまだ実験段階。ポイントを押さえた正確な解説だけど、テレビを見たこともない当時の人々には伝わらなかったろうなぁ。
文中に「寫眞電送」という言葉が出てくるように、ファックスは実用化されて新聞写真などで使われてた。まだ珍しい技術だったらしく、ファックスで届いた写真を新聞掲載する際には、写真にいちいち「電送寫眞」というキャプションがついていたみたい。

はいはい萌えどころ萌えどころ。
おそらく当時の流行語だったのでしょう。
「失礼しちゃうわ!」と言えば、現在でも「考え方がちょっぴり古風な女子がプンスカしながら吐く常套句」なわけですが、70年以上前から「女の子のツンツンした態度」をみんなでわざわざ持ち上げて話題にしてるあたりは、何だお前らもか、と言った感じが。
ちなみに、わざわざここに載ってるってことは、「失礼しちゃうわ!」と言われて「へ? 失礼をするって誰が?」みたいに理解できない人が結構いたってことなんだよね。あんまり想像できないけど。
というか、そもそもこの回答文はぜんぜん回答になってないな。書き手もわかってて悪ノリしてるあたり、ラストの「……」の部分に含みを持たせてて面白い。
気が向いたらそのうち他の流行語も紹介します。
本そのものが完全に風化しちゃう前にね。

*1:「後の○○である」はあんまり言う機会がないので嬉しい