アナキーに疾走するガガガ文庫の異端/真髄、夢野久作リミックス「脳Rギュル ふかふかヘッドと少女ギゴク (ガガガ文庫)」

脳Rギュル ふかふかヘッドと少女ギゴク (ガガガ文庫)

脳Rギュル ふかふかヘッドと少女ギゴク (ガガガ文庫)

夢野や海野ら国内のオールドスクールハードコアな文学作品をラノベとしてリメイクしていくというガガガ文庫の「跳訳」シリーズ第二弾。佐藤大
原作である夢野久作の「人間レコード」と「少女地獄」をかなり大幅にリミックス。ガジェットを引っ張ってストーリーは基本的に別モノ、というスタンス。
試みとしては最高に面白いし、作品としても面白い。このコンセプトでどっしりと読ませる完成度(堅実さ?)を創り上げることのできる力量は素晴らしい。
が、こうゆうのは現状のベテラン著作陣じゃなくてラノベ側の作家に書かせてこそ意義があるようにも思えた。(あんまりこうゆう言い方はしたくないんだけれど)「それってラノベでやんなくてもよくない?」って気はする。
跳訳」シリーズ第一弾の十八時の音楽浴―漆黒のアネット (ガガガ文庫)の、異文化コラージュ的なアンバランスさ、みたいなものは狙って出せるもんじゃないんだろうけれど。
むしろ「魔女式アポカリプス」の水瀬葉月氏あたりの極北系ラノベ作家による退廃疾走跳訳とか読みたいっすわ。
いっそ何を書いても逸脱する海猫沢めろん先生なんかどうでしょう。ガガガって感じ。