黒白キューピッド (集英社スーパーダッシュ文庫)

黒白キューピッド (集英社スーパーダッシュ文庫)

黒白キューピッド (集英社スーパーダッシュ文庫)

奇才・中村九郎氏のデビュー作。
えーっと、ヒロインが自分の「秘密」を賭けて遊ぶMMORPGの中に恋を探しに行くのを、空気読めない男主人公が無視したり協力したりする話? たぶん違うけど。
文脈を見せずに感覚で押し通す独特なテキストの魅力はいまさら語るまでもないけれど、本作におかれましては全編に漂う(たぶん桃色な)モヤモヤ感が秀逸。朦朧と微熱に侵された空間を漂う感覚はなんともいえない。
比較的ラノベの文脈に乗せようという努力が見える最近の作品も、その行為自体がよりいっそう異質さを際立たせているのだけれども、コレはあまりにも放埓かつ微妙で意味わかんない、そしてキュートだ。