禅とラジカセ修理技術

昨日拾ったラジカセを修理してみた、ラジカセ修理は十数年ぶりかも。


このラジカセは英語学習用らしいんだけど、このスタイルのデザインとしてはかなり小型、ラジカセはたぶん今までに7〜8個くらい拾ってるけどこのサイズは初めて。見た目もけっこうキュートかも。ベビーカーにも積めるし。
左に2つの縦フェーダーがついてて、どうやら左右独立してボリュームいじれるらしいところがかなり特殊。バイリンガルと英語のみの音声を切り替えつつ聴くとか?
って、コレ、MTRで左右のチャンネルに同じピッチで別の曲を録音したテープを用意すれば、なんちゃってカセットDJごっこで遊べるかも。
とか思いつつとりあえず電池を入れて鳴らしてみると通常のPLAYが早送りと同じスピードになってしまい、キュルキュルと早送り音しか鳴らない。あんまり遭遇したことのない不具合だ。


まずは裏からオープン。電池の指示が油紙なのがすげぇ。
おそらく不具合が発生してるのは表っかわの動作部なので裏はあんま関係ない。裏の内側からビス外して表っかわのガワを外すのかと思ったんだけど、それっぽいビス少ないなぁ。
あと、このラジカセは設計がかなり汚い。ちゃんと設計しておけば基盤をのっけてから何箇所もハンダ付けしたりする必要はないハズなのに。


ということは、表っかわの外装の下にビスが隠してある可能性が高い。たとえばこうゆう金属パーツんとことか。こじって開けてみるか。
外装に隠す場合、カセット入れる部分の底部だけはビスが見えてる場合が多いんだけどコレには見当たらないなぁ。


あ、ハズレ。くそう。ここは後で接着しなおさなきゃ。
ということは、やっぱり裏面からビス外すタイプかぁ、ビス少なかったから違うと思ったのに。


というわけで、表っかわの外装を外す方法は「裏面内側のそれっぽいビスを適当に外しまくる」でした。パカ。


露呈! 修理は第一フェイズから第二フェイズへ移行。「再生速度が異様に速い」って問題の原因を探る。


ここが結構手間取った。
テープを進行方向に巻き上げる右の黒い柱状パーツ。これの回転速度が「再生」と「早送り」でほぼ同じなのが原因の根本か。実際に動かしてみながら動力の伝達経路を何度も確かめるけど、「再生」と「早送り」どちらの駆動も設計通りに動いているようにしか思えない、うーん、どう考えても設計通り動いてるのに、そのスピードが早すぎるんだよなぁ。
と、ここで何度も動作チェックを繰り返しつついろいろいじってて気づきました。バネの力でテープ押さえる右下のゴムローラーを指で押してテープを押さえつけると、スピードが遅くなる?? テープを巻き上げる「右の黒い柱状パーツ」がテープの速度をコントロールしてるように見えすぎるため、そっちにばっかり意識がいってたけど、実際にテープの送りを行ってるのは右下の直径2ミリほどの金属の棒だった! ユーレカ!


この回転する金属棒に、下の黒いゴムローラーがテープを押し付けてゆっくり送り出す、ってのがテープを正しい速度で送る機構だったのね。これは気づきにくかったなぁ。


んで、そのゴムローラーの中の白い樹脂パーツが溶けてしまい、必要なテンションで金属棒にテープを押し付けられなかったので、巻き上げ側のひっぱるままのスピードでテープが動いてた、と、そうゆうワケでした。
ようやく原因解明! こっから第三フェイズ「修理」へ。 


原因は「ゴムローラーの軸が劣化してた」、そのせいで「金属棒にテープを押し付けられてない」こと。なのでそのへんにあったものを使って代用品を作ってみた。
軸うけになる黄色い樹脂パイプはHAMAビーズの残り、それにセロテープをぐるぐる巻きつけ、ゴムローラーがぴったりはまるサイズまで太くした。うん、ピッタリ。


で、そのパーツを新しい軸受けとして使ってみると……おぉ! ちゃんと日本語が聞こえてきたよおぉっしゃあ!!
でもゴムローラー自体も劣化して硬くなってるのでテープに対するホールド性がやや悪いみたいで、微妙に速度が安定しない。手持ちのカセットテープがターンテーブリズムのしかないから、音が崩れてるのかどうなのかが判別しずらいのがちょっと面白いけど。
代替パーツとして「直径18ミリのゴムかウレタンの円柱」をどっかから持ってきて現状と差し替えればほとんど無理のない音になると思う。これは後日どっかで探すので今日はここまで。
ちなみに「左右独立ボリューム」のようなものは、右が「普通の再生ボリューム」で左が「裏面のデータを逆再生するボリューム」でした、なんだこりゃ。DJごっこに使うならテープ作るのが結構大変かも。

とりあえず、この程度の機械の修理は物理的な故障箇所を探して直せる場合が多いので、非常に面白い。みんなも拾って直そうぜ。
ちゃんと直ったらガワにサフ吹いて全面グラフィックをペイントして仕上げたいなぁ。