ミミズクと夜の王 (電撃文庫)

ミミズクと夜の王 (電撃文庫)

ミミズクと夜の王 (電撃文庫)

電撃小説大賞の大賞受賞作。
鮮烈な印象を残すプロローグ部だけでまず完全にノックアウトされた。
夜の森を満たす濃密な夜の匂い、美しい魔物が跋扈する異教的な楽園像、どこをとっても日本人離れしたセンスを感じさせる。久々に「幻想文学」と呼ぶべき小説に出会ったような気がする。
まっすぐで力強い物語は、ひねくれ者の自分としてはあんまり得意なタイプの話じゃないけど素直に惹き込まれて感動してしまった。息子が小学校高学年になったら読ませたいと思えるような物語、電撃文庫だとちょっと珍しいよね*1
この物語は人間や世界に対する賛歌であり、多くの幻想文学がそうであるように呪詛でもある。そうゆう意味では、近い視点を持っている作品として木村航氏のジャンクル! (ファミ通文庫)を思い出した。こちらはこの作品とは真逆で「地獄の中でも人は人として生きる」という事を描いてるんだけどね。
これは映像化するとしたらフランスかチェコかドイツの実写映画が似合いそうだなぁ。まぁジブリという手もあるかもしれないけど。