JAMES BROWN IS DEAD

y05k2006-12-26

1991年、ハウスミュージック全盛期のその年にダンスミュージック史におけるテクノというジャンルが始まった。
それまでは、80年代初頭の実験音楽「テクノ」というジャンルの印象を引きずり、実験的、内省的、知的といったどちらかと言えばリスニング志向と捉えられていた「テクノ」だが、80年代テクノのインテリジェンスもハウスのグルーヴもかなぐり捨て、新たなダンスのための快楽装置としての「テクノ」が突然フロアに登場する、その1991年に。
T99の「ANASTHASIA」
そして
L.A.STYLEの「JAMES BROWN IS DEAD」
派手で下品でバカでノーメッセージ、とりあえず踊らせることしか考えずに作られたこの二曲は、その年、最もフロアでスピンされたであろう曲になった*1ハードコアテクノ、レイヴ、日本においてはデステクノとも呼ばれるジャンルがこうして産まれた。
ほぼインスト曲のANASTHASIAに対して、JAMES BROWN IS DEADはその曲名の通りサビ部分で「JAMES BROWN IS DEAD!」というニュースキャスター風のセリフが入る。このメッセージをもたない二曲は、その年、何度も何度も何度も何度も延々とヘビーローテーションされ、そしてついには誰もが勝手にメッセージをでっち上げた、「いまJ.B.が死に、グルーヴが死に、そしてダンスミュージックは変わったのだ!」と。
そんな狂宴の夜から15年が過ぎ去り、昨日、J.B.が死んだ。
昨晩だけはこの時代遅れのデステクノが世界中のフロアで鳴り響いたのだろう。15年を経て真実となったニュースキャスター風のそのセリフとともに。

*1:たぶん実際はCrystal WatersのGypsy Woman。ラダディーラディダ。