ひと夏の経験値 (富士見ドラゴンブック)

ひと夏の経験値 (富士見ドラゴンブック)
本屋で見つけてびっくりしたので購入。
時は90年代初期。TRPG*1だけが趣味の田舎高校生四人組、彼らのゲームに、夏休みの間だけ一人の美少女が加わることになって……。という恐ろしく狭いツボを的確に突いてくる空前絶後の「TRPG青春小説」。こうゆう小説表現があるとはなぁ。
図書室の片隅で青春を浪費した経験のある人種には、高校生にしては純朴で幼すぎる主人公の、愚かしくもまっすぐな思いが痛いほどわかるはず。とにかく眩しい甘酸っぱ系小説。でもTRPG
セッションを通じて主人公は少女に心惹かれていくんだけど、彼が少ない小遣いを投じて彼女の気を引くために買ったのはカラフルなクリア樹脂のダイスとメタルフィギュア。「お前もうちょっと別なお金の使いかたがあるだろう!」とツッコミを入れざるを得ない名シーンに心も震えた。
現役な子はともかく、かつてのTRPG少年にはぜひ読んでほしい愛すべき青春の墓碑。

*1:わかっちゃいるとは思うけどテーブルトークロールプレイングゲーム