再会&引き継ぎ

マンガ黄金時代 ’60年代傑作集という非常に良質な60年代マンガのコンピがある。
執筆陣もすさまじい顔ぶれで、アマゾンから目次を転載させてもらうとこんな感じだ。

ジョーを訪ねた男(手塚治虫)
ラララの恋人(滝田ゆう)
おせん(楠勝平)
ゼンマイ仕掛けのまくわうり(山上たつひこ)
ほんやら洞のべんさん(つげ義春)
勝又進の4コマ特選(勝又進)
ひっとらあ伯父さん(藤子不二雄)
宿の螢り(村野守美)
お座敷(赤瀬川原平)
一六ばあさん(山松ゆうきち)
河童の居る川(つげ忠男)
ヤスジのメッタメタガキ道講座(谷岡ヤスジ)
巨大な魚(林静一)
うみべのまち(佐々木マキ)
青春裁判(永島慎二)
赤い花(日野日出志)
テレビくん(水木しげる)
情炎のぶつぎり(真崎守)
天才バカボンのおやじ怪僧ケツプーチンなのだ(赤塚不二夫)
すっぱい季節(川本コオ)
ライクアローリングストーン(宮谷一彦)
しつもんがあります(やまだ紫)
身体検査(淀川さんぽ)
武蔵野心中(あすなひろし)
ホモ太郎(高信太郎)
おとうと(樹村みのり)
六の宮姫子の悲劇(つりたくにこ)
マット一本の話(鈴木翁二)
さそり(辰巳ヨシヒロ)
いきぬき(青柳裕介)
章太郎のファンタジーワールド「ジュン」 春の宵(石森章太郎)
傀儡がえし(白土三平)
エッセイ 大人のロマンと子供の科学(赤瀬川原平)

一作ずつレビューしたいくらいだが、へヴィすぎるのでここではやめておこう。
今日現在だとマーケットプレイス出品はあるようなので「マンガ読み」を自称する人は是非。しかしこんな稀覯本をよく売るよなぁ。まんだらけじゃプレミア付いてたのに。
まぁそれはともかく、グラフィックデザイナーとしては「うみべのまち」の佐々木マキ氏に注目していたのだ。
佐々木マキ氏のマンガ、というかグラフィックワークはこの本で知ったのだが、奔放にして奇怪、シュールな毒々しさの中にもどこか突き放したような痛快さを併せ持つ、圧倒的に独特なヴィジュアルにはヤラれた。これ一本の中にTシャツにしたい絵が多すぎる。というかもういろいろとパクりたい。
と、まぁ自分の中にインパクトを残しつつ、その他の仕事といえば「羊男シリーズ」くらいでしかお目にかかったこともなく、自分の中ではレア作家認定されちゃってたんですけども、たまたま先日寄った書店で絵本を見つけちゃいました、その名も「やっぱりおおかみ (こどものとも傑作集)」(名義は「ささきまき」)。
やっぱりおおかみ (こどものとも傑作集)
もうこの主人公のおおかみが全部真っ黒で目もないし、「け」しか言わないし、手とかマグカップの取っ手状になってて腰にくっついてるっぽいしで生き物なんだかオブジェなんだかよくわからない可愛らしさ。
墓場のシーンで出てくるオバケも、ここ3年くらいで流行りだしたステッカーアート(よく街中の壁とかに勝手に貼ってある自作ステッカーとか)として現役で通用するグラフィックだなぁ。ちなみにこのシーンはオトナでもゾッとするくらい不吉な感じがよく出てて非常に怖い。うちの息子もおびえてくれるんじゃないかなぁ。
すさまじく良質なグラフィックワークに加え、話そのものも非常に深い。まぁそこは読んでのおたのしみって事でぜひ見かけたら立ち読みを。