新興宗教オモイデ教外伝 1 (1) (ガガガ文庫)

新興宗教オモイデ教外伝 1 (1) (ガガガ文庫)

新興宗教オモイデ教外伝 1 (1) (ガガガ文庫)

大槻ケンヂ氏の小説を下敷きにしたスピンアウト小説。
これは素晴らしい出来!
1996年に発売されたleafブランド3作目にして、エロゲにおけるヴィジュアルノベルという手法を確立した名作「雫」。「雫」は大槻ケンヂ氏の「新興宗教オモイデ教」からの影響を色濃く反映している*1作品だが、自らが製作していた、その「雫」の同人誌をleafに見出され「white album」でシナリオライターとしてデビューした原田宇陀児氏こそが、この小説の著者なのだ。ゆえに本著は、「新興宗教オモイデ教」を母体とし、11年の時差を経て産まれた「雫」の双子の妹であると解釈したい!
乱歩や久作(あるいはラブクラフト)など、読書に溺れる青少年が到達すべき「読書の不健全な愉悦」とでもいうべき空気があまりにも濃密に描かれているさまは圧巻だ。(こないだも似たようなコト書いたけど)
研ぎ澄ましたような硬質な文体も、「なんだこれ読みづれぇ」と思いながら徐々に引き込まれて独特の酩酊を誘う。文体の感触に限って言えば、ラノベのレーベルでこんなものが読めるとは想像もできなかったレベル。文体フェチにもオススメ*2
個人的には大絶賛、年間ベスト5入りは確実かもね。若干序盤が冗長なのだけが残念かなぁ。
ちなみに「新興宗教オモイデ教」は未読なのです。

*1:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%AB

*2:自分は鴎外の舞姫をハァハァいいながら読むタイプ