ブラックロッド (電撃文庫)

ブラックロッド (電撃文庫)

ブラックロッド (電撃文庫)

おぉ! これが電撃始祖! カテゴライズっぽく呼ぶとすれば確かにオカルトパンク。
ある日、爆弾がおちてきて (電撃文庫)」で出会い、「超妹大戦シスマゲドン (1) (ファミ通文庫)」で再会を果たしつつもまったく同一人物だとは気づいてなかった古橋秀之氏のデビュー作までイッキにさかのぼってみる。
ラノベやエロゲなどテキストを主体とするコッチ系コンテンツにおいて、確固たる主流の一つである伝奇アクションというジャンル、人によっては「電撃文庫系」とすら呼ぶこの流れ(スタイル)を決定的に作ってしまったと評される伝説的作品。もちろん在庫などないので中古で入手。
確かに、発売後10年を経た今でも強烈なインパクトがある一冊だった。宗教的モチーフやオリエンタルなオカルティズムとサイバーパンク的ガジェットを融和させるセンスも秀逸、こうゆうのは本当にバランス感覚と嗅覚に優れた著者のみになしえる仕事だと思う。いわゆるサイバーパンク小説の漂着点である「こころの在処」というテーマにもがっぷり四つに組んでるところが初々しくて好印象。惜しむらくはテーマ、ガジェットともに10年後の未来の読み手である「我々の求める物語」とは微妙なズレが生じているという事実か。この点は興味深い。個人的にライトノベルを読み始めてまだ2年と少々なので、この作品をきっかけに一つ、過去から現在へとつながるベクトルが見えたように思える。
「恋する死者の夜」で萌えの本質であるデストピアに絶望した古橋秀之氏が「妹」をコアに創り上げた人造妹神「シスケマトン」で地上のバビロン・東京(デストピアとの共振効果)を蹂躙。といった流れか。違うな。