新版・万事快調

新版・万事快調
エログロを素材に超越を表現し続ける奇想の漫画家・駕籠真太郎氏。たまーに読みたくなる。
たとえば
屋根のない部屋の中が演劇の舞台のような一つの世界になっており、出演者である女性を見下ろす視点でマンガが描かれてゆく。
左右の隣の部屋にもさっきと同じ女性がいるが、若干シチュエーションが異なっており、その部屋は人生における別の選択肢を選んだ結果の世界(舞台)になっている。
それらの手前側に連なる部屋は、前の部屋からさらに枝分かれした数分後や数日後の世界になっていて、自殺したりスターになったり殺されたり大量殺人犯になったり自殺したりとどの運命を選んでもその女性が辿ることになる悲惨な事態が、箱庭のような世界で描かれてゆく(のを読者は斜め上から眺める)。
しかしその女性のなかの一人が、部屋の壁の上に登る方法を発見して……。
というマンガが収録されてるんだけど、やっぱり言語化するのが困難すぎるなぁ。炸裂し続ける奇想もすごいけど、そのイメージを紙に縫いとめることのできる画力があればこそ成立している奇跡の漫画家。見たことも無いようなイメージを求めるなら試してみては?
意外と舞台美術というものにこだわるのある人だったんだなぁ。