串刺しヘルパーさされさん ~呪われチルドレン~ (HJ文庫)

串刺しヘルパーさされさん ~呪われチルドレン~ (HJ文庫)
熱気と生命力あふれる夏の夜、世界の不条理にくるくると踊る群像を描かせれば天下一品な木村航のダンナの最新作は、新レーベル「HJ文庫」から。
おそらく木村氏と近いフォークロア系属性を持ち、名作「腐り姫」の原画家にして漫画家・中村哲也氏を絵師としてぶッつけたホビジャの采配は非常によくわかる。
「呪い」の跋扈する現代(?)日本を舞台に、重度の呪われ患者にしてちゃきちゃきの江戸っ娘「さされ」が大暴れ。
ぺとぺとさん」では作者自身は語り部役のジェレミーに投影されていたのだが、本作はべらんめぇ調の勢いにまかせてアクティブに動く主人公なので非常にストレートにモノ語っているように思えた。身もフタも無い言い方をすれば木村節全開。いや、好きだけど。なんか、登場人物たちが世界に祝福されてるような感じが心地いいんだよね。
前作「ジャンクル!」でも感じたのだが、木村氏の物語りは非常にエネルギッシュなので、ともすれば「強い人」のための小説になってしまいがちなのかも。そうゆう意味では「ぺとぺとさん」のバランスも捨てがたい。