天の覇王 1 (BUNCH COMICS)

天の覇王 1 (BUNCH COMICS)
絵のイメージがなぁ……とか思いつつも、なんだかんだでやっぱり気になるので読んでみた。
これは……予想のはるか上をいくかなりのラオウっぷり。正直驚いた。
ストーリーの構成は、今春公開された劇場版と原作の漫画版の設定を踏襲しつつ、そこへと至る過程の数年間を描くものになっている。もちろん、黒王との出会いや、建設が始まったばかりの聖帝十字稜など、北斗ファンにはたまらないシチュエーションやガジェットも満載でそれだけでもぉ腹いっぱいです。といいたくなるような濃密な北斗空間を描き出すことに成功している。
ミリペンっぽいタッチで、キレイな抜け感のある絵柄は、ある意味原作の対極をいく方向性。これはこれでシャープなかっこよさがあるのだが、惜しむらくは「モヒカン肩パッド革ビキニの汗臭そうなムサい筋肉オヤジが斧で殴りかかってくる」ような原作版のギラギラとした危険なかがやきが失われているのが残念。だが逆にそれが今後の「北斗ワールド」の新たな広がりを予感させるものになっているのも事実だ。
思うに、ファーストガンダム的な「正史からのスピンアウトを構築して楽しむ」という環境はすでに北斗にも用意されている。今後もさまざまな切り口で楽しめるだろうから原作は一年に一回は読み返しておくべき。
え? 読んだことない人なんていないでしょ?